よりみち散歩 #13 吉祥寺の本屋事情

選びきれないほどある本屋

吉祥寺には沢山の本屋がある。ジュンク堂(コピス内)、啓文堂(キラリナ内)、紀伊国屋(東急百貨店)、ブックファースト(アトレ内)、リブロ(PARCO内)。どこも広くて品揃えが充実している。今挙げた店は全てデパートや商業施設のフロアに入っている。なかなか素直になれない私としては、どうしても昔ながらの本屋に愛着が湧いてしまう。本屋の性質上(デジタル万引き等の問題は最近はデリケートだ)極力写真ではなく、公式Twitterアカウントを貼りながら紹介してみたいと思う。自ずと最新の情報もチェックできるのでとても便利でもある。

・サンロードの書店といえばBOOKSルーエ

サンロードのBOOKSルーエ

こちらの店舗は平成3年から開業しているが、元々は喫茶店ルーエだったことはあまり知られていない。しかもその前は蕎麦屋だったそうだ。
ここは定期的にサイン会を開いており、サンロードの駅寄りにあることから根強い人気がある。私もこの20年ほぼ毎日お店の前を通るが、変わらない店構えでありながら、常に最新の情報がつまっていて好感が持てる。ルーエの三階が漫画コーナーで、うっすら汗をかきながら階段を登ると多くの色紙が見られる。著者自らルーエさんへ書いていることも少なくない

・吉祥寺南口をすぐ右に、古本センター

突然だが少し時空を飛び越えてみよう。

こちらは古本センターさん。今年の7月にTwitterを登録したところなので、ご紹介しよう。古い漫画(月光仮面レベル)や古書、写真集、音楽系の厚めのしっかりした本が多く取り揃えてある。ざっと見る限り、価格帯は1000~3000円程だ。特に古典漫画・クラシック・ジャズ・演劇に関する棚は興味深い。他にも新中古本も取り扱っており、私は吉祥寺に関する本を新品同様で半額の600円で購入したことがある。

余談だが、ここには昔ながらのエッチなコーナーもある。昔の本屋にはこのようなコーナーの1つや2つあったものだ。カーテンで仕切られたり、レジの目の届くところに設けられていたりしていた記憶がある。これは少年にとっては大人の階段を感じさせる大切な社会の仕組みの1つだったと思うが、これも時代の流れと共に激減してしまった。インターネットは急速に少年を大人に変えてしまっている。

漫画家が多い街

吉祥寺といえば楳図かずお先生が有名だが、いつから吉祥寺は漫画家の街と言われる様になったのだろうか?

調べ行くと、どうやらトキワ荘が絡んでいるらしい。

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出典:東長崎機関様より

トキワ荘とは、手塚治虫先生や藤子不二雄先生、赤塚不二夫先生を始めとした漫画家の巨人が住んでいた豊島区にある木造アパートである。このアパートは1952年から1982年まで実在していた。ちなみに2020年までに近くの区立公園に復元させる計画だと言う。ここで活躍した漫画家は後に吉祥寺周辺に集まったのだそうだ。

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キョリ測(ベータ)様より

ここで疑問に思うのは、なぜ10km程離れた吉祥寺までやってきたのかということだ。

その理由は

・家賃が安い

・出版社へのアクセスの良さ

・自然がある

・スクリーントーンやペン等の画材が入手しやすい

などが理由だそうだ。ちなみに当時はまだユザワヤは無い(1996年に吉祥寺にやってきたが、パルコの地下にTooというお店があったらしい)。最大の疑問は吉祥寺の家賃は高いのでは?と純粋に思ってしまった。今度はの地価の価格変動を調べると以下のように出てきた。

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地価公示価格チェッカー様のサイトより

グラフの通り、1982年までは土地代がかなり安い。バブルの1988年をピークに、値段は下降気味だが依然として東京都平均額より高値を維持している。確かにトキワ荘が稼働していた時期は安く、辻褄があう。

現在吉祥寺にゆかりがある著名な漫画家は原哲夫先生(北斗の拳)、水島新司先生(ドカベン)、大友克洋先生(AKIRA)等と例を挙げれば枚挙にいとまがない。吉祥寺は漫画家にとって何かと”ちょうどいい”場所だったようだ。

また、吉祥寺には「吉祥寺アニメワンダーランド」というイベントもあり、その文化は脈々と受け継がれている。ジブリは三鷹が拠点だが、その派生としてスタジオ4℃(鉄コン筋クリート等)のスタジオは吉祥寺にある。リンクはWikipediaだが、現社長がジブリにいた頃の逸話がいくつか書いてありとてもおもしろい。

サブカルチャーな本屋

吉祥寺と言えば何かと「サブカルチャー」と言われる。だがよくよく考えるとサブカルとは一体なんなのだろう?

こういうネタを取り扱う時は、Wikipediaよりもアンサイクルペディアを見た方が面白く、感覚的にもわかりやすい。もはや処理しきれない程のカテゴリーがある。一文で書くならば「社会的に一般的ではない、独特な文化」となるだろう。インターネットがこれほどまで普及してしまった今、コミュニティーは細分化を極めており、生活にサブカル要素を排除する方が難しい。趣味1つとってもサブカルになってしまう。

吉祥寺の古本屋におけるサブカルチャーには不思議な共通項がある。それは、なぜかサブカル≒ホラー・エログロに偏る傾向がある。やはり強烈なアイコンなのか、こればかりは主観の問題なのでこれ以上は言及しないでおく。

・バサラブックス

はじめに断っておくが、もちろんホラー以外の本も沢山ある。バサラ=婆娑羅であり、サンスクリット語を語源としている。その本来の意味はダイヤモンドを指していたが、平安時代から「自由な表現」という意味合いで取られるようになったという。2006年に開店してから根強いファンが多い。こちらの外売コーナーは高くて500円という安く購入できる本が並んでおり、狭い店内には床にまで本が積み重ねられている。床には佐伯俊男の大きめのイラスト(裸婦・怪人・泣いている少年)が飾ってあり、サブカル感を際立てている。

・すうさい堂

すうさいど=suicide(自殺)から来ていると思われる。外の看板も少し猟奇的だsanpo#13-4suicide

店内は「死」を連想させる本がいくつかフィーチャーされているが、古典的な古本も置いている。販売強化中なのか、現在吉祥寺在住で知られる宮藤官九郎氏の本が多く取り揃えられていたので一冊購入した。

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すがすがしいばかりのシモネタの連発だ。やはりエロ・グロ・ホラーは古典的な映画と同じくらい切っても切れない関係なのだろう。他にも官能ボイスで朗読してくれるCD付きの本もあったが、今回は敬遠した。

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吉祥寺には他にも古本屋は多くある。井の頭通り沿いの愛書堂よみた屋、五日市街道沿いの藤井書店、東急裏の百年計画、サンロードの外口書店etc. どれも良い距離感を保っているので是非散歩がてら巡っていただきたい。

新しい本屋のカタチ

その昔、漫画の森という漫画専門書店もあったが、気がつけば閉店してしまった。そうかと思えば今度はアニメイトが出来た。本屋に限らないが、最近の吉祥寺のお店の進出後退は激しく感じる。遊べる本屋ビレッジヴァンガードが東急裏にあったころは入るだけでワクワクしていたが、そこも撤退してから久しい。今では吉祥寺PRACO内(ヴィレッジヴァンガード オンザコーナー)、吉祥寺LOFT内(new style)に形を変えて残っている。さらに驚いたことにヴィレッジヴァンガードダイナーというハンバーガー屋もできてしまった。

実は関東を中心に6店舗展開している。

他にも古本×古着 午睡舎(シエスタ)などと言った組み合わせのお店もある。お隣の西荻窪には酒を飲みながら置いてある本が読める 古本バル 月よみ堂 というお店もある。

あの手この手で古本屋は進化している。この勢いだとデジタル音声処理朗読屋なんていう未来も近いかもしれない。

今後の古本屋のハイブリッド化にも注視していきたい。

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