ピンマイクの中仕込み
なぜピンマイクを隠すのか
なぜピンマイクを隠すのだろうか?
映画・ドラマ・CMなどの場合、それは美しくないからだろうか。
教育テレビの場合、子供の夢を壊してしまうからだろうか。
ロケの場合、いきなりピンマイクがついていると予定調和(台本ありき)を意味するからだろうか。
一周回って、予算の関係で実はピンマイクを使っておらず、カメラマイクだけのロケも今どき珍しくはない。
あいにく私は映画の現場を経験したことは無いが、子供向け番組、ドラマ、WEB CMは担当したことがある。
これらはリアリティに抵触するため、ピンマイクを付ける場合、指定が無い限り隠さないとならないのである。
貼り付け方
ピンマイクを隠すとき、私の周りではよく「中仕込(なかじこみ)」と呼ぶ。
ワイヤレスピンマイクの先端をガムテープなどで加工して、服の裏側に貼り付けるのである。
貼り付ける場所はできるだけ高いところがよいが、目立ってはならないため、付け方は都度スタイリストさんと相談が必要になる。冬はマフラーや重ね着に対応する必要が出てくる。夏は逆に生地が薄すぎて透けて見えてしまうリスクも出てくる。
スタンダードな付け方はガムテープだけで対応できるが、私が先輩から伝授してもらった付け方も紹介したいと思う。中仕込には正解は無いが、ケースバイケースで使い分けられるようになると1つ上の音声さんになれるであろう。
また、ガムテープは私が色々試してきた限り、寺岡製作所が最も粘着力が高くて良い。2種類のサイズがあるが、細い方が何かと便利である。
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さんかく=おにぎりパターン
私がかつていた会社では通称おにぎりと呼ばれていた仕込み方法である。
メリットは、ガムテープの粘着面を外側に三角形に巻いていくだけであることから、簡単に作ることができる点である。しかし、ちょっと大きくなってしまうので薄着の人につけるとボコッと出てしまいバレてしまうのが難点。
ぷにぷにパターン
マイクの先端にぷにぷにしたシリコンをつけることで衝撃を吸収しつつ、ガムテープで服の中に固定する方法である。ぷにぷにのゲルは東急ハンズで購入することができる。
メリットはおにぎりパターンよりは薄く済むことから、幅広い服でも貼り付けることができる点であるが、デメリットは作るのがちょっとだけ手間がかかるという点である。しかし、1度作っておけば繰り返し使えるので、個人的にはおすすめである。
以下のCMは私がこの中仕込方法で収録した実際の音声である。
作り方の詳細は別の記事で書こうと思う。
オプション:ファーもつける
ふわふわなマフラーや、毛糸系の服だと中仕込したマイクの先端にチクチクと毛糸が触れてノイズになることがある。その時は、ファー的なものをマイクのぷにぷに側に更に上から貼り付けることでチリチリから守る。写真は羊毛であるが、うさぎの方が柔らかくて好きである。
両面テープは日東製のものをよく使う。
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このようにファーに貼り付けて、ピンマイク側に被せるのである。
ただし、マイクにあれこれといろいろ貼り付けること自体リスクが増えるので、最後の手段としておいた方がよいだろう。また、ファーの色によっては透けてしまうので、白黒は用意しておくのが良いだろう。
まとめ
色々紹介してきたが、どれも一度は試さないとどんな音がするか想像できないだろう。
是非一度試して聴き比べをしてみることをおすすめする。