リボンマイク RCA 77DX/44BX

RCAは真空管やレコードだけじゃない

RCAと言えばクラシックCDでたまに見かけるこちらのロゴがある。Unknown

また、RCA端子は今でもテレビのアナログ出力で使われる事は少なくない。特に、今おじさんまっただ中の皆はテレビの後ろからしょっちゅう赤白のケーブルをゲームに繋いでいたのではなかろうか?

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そんなRCA社(Radio Corporation of America)は世界初のカラーテレビの市販化を手がけたり、ボイジャー探査機に搭載するICチップを製造したりとエレクトロニクス界では老舗中の老舗である。RCA社は1919年に創業し、1986年にドイツのベルテルスマン社に売却されてしまった。RCA社の子会社であるRCAレコードは1975年にビクター音楽産業が担っていたが、現在はソニー・ミュージックエンタテイメントに吸収されている。

さて、そんなRCA社はRadio Corporation of Americaというだけあって、マイクも製造していたのである。

録音と軍事

私がこの記事を書く事ができるのも、あなたがこの記事を閲覧することができるのも技術革新のおかげである。1960年代に世界各地でインターネットの研究が始まり、後に軍が介入し1980年までは軍と大学機関しか接続ができないシステムも存在した。それが現在ではPro Tools12のAvidクラウド・コラボレーションにより、同じ場所にいなくてもネットワーク接続で一緒にレコーディングできてしまう時代に突入してしまった。

楽曲制作環境の自由度は格段に高まったが、人間の音に関する先入観にはものすごいものがある。特に顕著なのはストラディヴァリウス等の名器と謳われる楽器だ。ストラディヴァリウスは弦楽器製作者アントニオ・ストラディヴァリの手がけた楽器のブランドシリーズを指すが、これらは1600年代後半から1700年代前半のものである。プレイヤー・聴衆がヴィンテージサウンドを求めているのか、現代の音が劣っているのか、私には皆目見当がつかない。

ただ、この現象はレコーディングエンジニアにとってマイク選びにも当てはまることがある。これらのマイクも無論、録音技術の向上と軍による投資(録音技術は主にナチス)によって開発された背景がある。ドイツのTelefunken(1903年設立)、イギリスのEMI(1931年設立、旧コロムビアは1897年設立)、そしてアメリカのRCA(1919年設立)は比較的近い時期に設立し、機器製造から発足した音楽関連産業を牽引してきた企業である(現在はTelefunkenしか残っていない)。

大砲の様なBKシリーズもあるが、今回は名器と言われているRCA 77DX、RCA 44BXを取り上げてみよう。今でも根強い人気があるマイクである。

RCAのリボンマイク

RCA 77DX

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Fastback Studiosより RCA-77DX

こちらのRCA-77シリーズはオーセンティックなレコーディングスタジオで稀に見かけることがある。大切に保管され、今でも多くのアーティストに愛されているマイクである。柔らかい音が特徴で、ふくよかな音がすると言われている。ドナルド・フェイゲンのアルバムThe Nightflyのジャケットでおなじみ(?)のマイクは想像より大きく、中の磁石とリボンがとても重たい。

他にもボブ・ディランのNot Dark YetのPVではボコボコになった77DXも印象的である。

歴史あるマイクは数々の作曲者を彩る。ホーギー・カーマイケルはジャズスタンダードナンバーのGorgia On My MindやThe Nearness of You、Skylark等の作曲者である。

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ホーギー・カーマイケル

このマイクも切り替えスイッチで指向性やキャラクターを変える事ができる。

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マイクの底でキャラクターを変える

キャラクターを変える事でローカットされる。

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そして指向性も6種類に切り替えが可能である。

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これも以前書いたWestern Electric 639A/Bと同様で、指向性はご覧の通りである。

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1949年に日本にやってきたこのマイクは今からおよそ60年前に作られているにも関わらず、ほぼ完成系と行っても過言ではないだろう。当然、もう製造はされていないのでコンディション維持に細心の注意を払わなくてはならない(特に中のリボンが伸びてしまうと台無しである)。

RCA 44BX

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主観ではあるが、44BXは77DXより希少価値が高いと思われる。実際、値段も高く取引され、市場でもあまり見かけることはない。77DXも同様であるが、中身はこのようになっている。

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中心に伸びている網の中にあるのが振動するリボンで、周りは磁石でかためられている。77DXより重たく、指向性の切り替えスイッチはない。その為指向性は双指向性の一択となる。
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昔の撮影でも使われていた様だが、正直言ってこんなに重たいマイクを吊るのは相当難しいと思われる。location

RCAといえばやはりアメリカのアーティストが中心に使っている傾向が強いのか、映像資料としてはエルビス・プレスリーの写真が残っている。

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これらのリボンマイクは”ブランコ”のようなフックがネジで取り付けられており、角度を簡単に調節することができる。そしてマイクが重たいのでスタンドも重たいステンレス製であるか、丸座の小型スタンド(お皿状の小型スタンド)で使われることが多い。

77DXの入手方法

ヤフオク

あまり出品される事がない77DXではあるが、昨夜1件が落札された。

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その金額は12万円で、相場から見るとかなり安価に購入できた方だと思われる。個人的な感覚では77DXは年に数回見かけた気がするので、毎日リボンマイクをチェックすれば、いつかは巡り会う事ができるだろう。

先ほども少し書いたが、44BXを見かけることは難しい。私も今まで1回くらいしか見かけたことが無いのである。もしかしたら出ているかもしれないが、かなり貴重な機会と言えるだろう。もちろん主観である。ただ、私の記憶が確かならば、秋葉原のラジオ会館で一本30万周辺で店頭販売しているものがあったような…

eBAY

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eBAYでは多くのRCAマイクが取引されている。77DXで調べればいつでも売られている。価格には差があり、上の画像だけでも10万円の差がついている。見た目のコンディションは良さそうだが、中身まで確認するやりとりはヤフオクより一手間かかる。

実は77DXにはテレビ仕様という物が存在する。これは色がマットグレーがかっているもので、性能は同じである。

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間を取って価格は24万前後が基準となるだろうか。

注意喚起

何度も言おう、私はロマンを求めている。機材を愛することは美学である。そんな中、共感したブロガー様を発見したのである。それはアメブロで記事を書いている音響機材の鬼様である。

ここには貴重な買って損した体験談が具体的に書かれているので、是非一度見ておいた方が良いだろう。オークションの危険性を身を以て教えてくれているのである。今回の77DXのNG内容も書かれているので一読しておいても損は無いだろう。

 

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