よりみち散歩 #28 吉祥寺の閉店したお店跡
いつまでも残り続けるお店跡
吉祥寺には閉店したのに、いつまでも取り壊されないところがある。他にもテナントがガラガラのまま何年も経つ場所が存在するのだ。日頃よく通る場所にそれらはあり、恐ろしい程の非日常を演出し続けている。
私は昔から疑問を持ち続けており、今回は3つの場所をピックアップすることにする。
いけす、月亭、大綱
吉祥寺駅北口を出ると、すぐにサンロードの入口がある。そのアーケードの突き当りにあるこちらの「いけす」は五日市街道に面しており、車で通り抜けた人も少なくないはずだ。
この場所には3つのお店が一体となっており、かつては「あかべこ」という店舗もあった。後に「あかべこ」はマクドナルドになり、現在はバール・ピッツェリア「NAPOLI」となっている。その横の新井時計店も、店主の高齢化なのか2016年10月10日に閉店してしまった。具体的な情報は吉祥寺東コミュニティセンターや東町ニュースにも記載されている。東町ニュースには
“バウスシアター跡地、大ボーリング場計画。1月18日、午前10時~12時、19日午後18時~20時 場所 商工会館=説明会”
という気になる予定も書かれている。
さて、「いけす」に話を戻そう。このお店群は2008年4月末で段階的に閉店していったようである。私はついに行くことも無く閉店してしまったが、文字通りいけすの水槽が五日市街道に面していて子供ながらに楽しんでいた記憶がある。54年の営業を経て、閉店したこのお店は未だにその存在感を放っている。
かつて営業していた頃は、この外まで料亭の中居さんがお出迎え・お見送りをしていたのを度々見たことがある。この跡地はいつまで残り続けるのだろうか。
センチュリービル
以前、吉祥寺のゲームセンター特集の番外編として書いたことがあるセンチュリービルは異様な雰囲気を出している。
ここは月窓寺の前にある郵便局の隣にある。サンロードの中間地点・ヨドバシカメラの道を挟んだ斜め向かいにあり、人通りは比較的多い。かつてゲームセンター アメリカヤが1階にあったこのビルには現在トランクルームしか入店していない。
エレベーターは稼働しており、道を挟んだヨドバシカメラが煌々と輝いている。
エレベーターのフロアマップを見るとご覧の通りである。
これを見るとどうも色々な事情があるのだろうと想像することができる。
エレベーターのボタンは5階意外は止まらない。こちらのトランクルームのある逆側にも入口があり、そちらからは地下にあるパチンコ屋に階段で降りることができる。
なかなか年季の入っている看板の横には上下に移動できる階段があるが、上に登ることはできない。
(株)セイカは不動産のようである。ここのビルも長い年数このままの状態で、なんとかならない物かと余計な心配をしてしまう。
一方で、同じ敷地内にも関わらず、地元民に愛されているクレープハウス「サーカス」はお客さんで賑わっている。
ここはとにかく値段が安くてデカイのが売りだ。値段は高くても400円に届かないものばかりで、子供の頃はよくお世話になっていた。
無くなってしまったバウスシアターの前にもクレープ屋があったが、現在は吉祥寺南口の丸井の横くらいしかないのではないだろうか。店内(クレープ作業場)には彦摩呂や中川翔子、オリエンタルラジオなどの色紙が飾られている。
おばちゃんと話すのも面白いもので「今日の昼間は忙しくてトイレも行けなかったわよ」と言う。また来るので、がんばって続けてくださいと言い、およそ10年ぶりに食べたクレープはまだセンチュリービルに聘珍楼などが入っていた頃のままの味だった。
喫茶 ボア
喫茶ボアは吉祥寺南口からすぐの場所にある。
地元民であれば、閉店したことは知っていても、まさかまだお店の跡が未だに残されているとは思っていないだろう。かつての油そば「ぶぶか」はボアのすぐ横にあったが、今はパルコの裏に移転している。ここ一帯は建物の老朽化により、各店舗が撤退を余儀なくされたと聞いていたが、未だに跡が残っているとはどういうことなのだろうか。疑問と怒りはやがて悲しみに変わる。
通りの表はご覧の通りだが、裏側を見てみると意外と大きい敷地を持っていることがわかる。
ここで毎朝ケーキを焼いていたのだろうか。その頃はまだ無かったLABI(2014年10月31日オープン)が顔を覗かせている。
一見華やかな街のすぐ隣には、閉店跡のお店が残され続けているのである。