よりみち散歩 #27 吉祥寺のまちづくり支援

吉祥寺のいま

メディアはその性質上、流行ものばかり取り上げ続ける。昨今ではメディアの進化により、流行っていなくても”ある瞬間”ウイルスの様に拡散し急激な影響力を発することがある。これらをウイルス性という意味を持つ「バイラル」や、口コミという意味を持つマーケティング用語の「バズる」と呼ぶ。大体は一般人界隈でじわじわと知られるようになり、”ある瞬間”というのは有名人や大手メディアが取り上げた時に知名度が爆発する傾向にある。昨年で言えばピコ太郎(古坂大魔王)がその代名詞となるだろう。

だが、経験上吉祥寺という街はさほどメディアに振り回されることは無い。HanakoやWalker系列、テレビでもよく取り上げられるが、武蔵野市民は冷静だ。それはそれで悲しい話ではある。ちょっとした目新しさで話題になるお店よりも、昔ながらの手堅いお店が結果的に生き残っている。だが、これは決して良いことではない。新しいお店はがんばっているのだ。試行錯誤して、人の注意を集めようとするのは当然のことだ。個人的には新しいお店も、いずれは老舗になってほしい。

市民の高齢化なのか、社会の堅実化なのか、今の吉祥寺はいろんな意味で厳しい。いや、日本自体がいろんな意味で厳しい。

一瞬ウケた店でも、高すぎる場代の為、お店はどんどん潰れて行く。吉祥寺の31アイスクリームの逸話は有名だが、同じく駅前の立ち飲み屋兼ローストチキン一羽丸々1600円で商売している「ポヨ」の場代は4.5坪で毎月74万円(年間888万!!!)だそうだ。いくら吉祥寺の駅前とはいえ、正気の沙汰ではない。1

個人経営店は後継者が居ない為、ハモニカでもシャッターだらけの通りもある。

8

のれん小路の看板は元気だが、皮肉にものれんはほとんど無い

隠居した店主は、その場所をテナントに出すこともしばしばあるが、テナントに入ったお店は、故意なのか、そうでないかは分からないが、すぐに撤退してしまう。「吉祥寺」というブランドは今、お店の実験場と化している。批判するつもりは無いが、2014年から相次いで3店舗開店したバウム吉祥寺は、2016年6月に一斉閉店した。これはその典型的な例と言えるだろう。

私は吉祥寺について一度しっかり知る必要があると考えるようになった。吉祥寺という字が含まれる本は可能な限り読むことにした。漫画や小説を含めるとさらに増えるが、まずは情報収集を優先した。

%e6%9c%ac1

%e6%9c%ac2

左上の本は、統計から吉祥寺を分析している

吉祥寺が『いま一番住みたい街』になった理由

新品価格
¥1,512から
(2017/1/7 02:32時点)

こちらの本は、かつて圏外から住みたい街ランキングに入った経緯を社会の流れを分析しながらまとめられている。この本は吉祥寺が1位だった頃に出版されたものである。恵比寿に1位の座を持って行かれた今、株価のごとく、吉祥寺の順位はますます下がって行くだろう。

ハモニカ横町を取り上げている本や、貴重な戦後の吉祥寺の写真を納めた写真集も手に取った。他にも吉祥寺在住のリアルな生活日記・手記は当時の吉祥寺することができる貴重な風俗史である。どれも変わりゆく吉祥寺を嘆いている共通点があった。変化を受け入れられない住民なのか、本当に吉祥寺が大好きだからなのか。きっと両方だろう。この街に住みたくて住んだのに、好きなお店が無くなって行く寂しさは愛情故のものだ。

時代は進んだもので、Kindleでしか読めない本(データ)も出てきた。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-07-2-59-03

無論、これらも読み漁る。本にくらべると若干ライトな情報に感じてしまうのは、ちょっと古い感覚が残っているからかもしれない。事実、文章は値段に比例しており、これらの本のページ数は少ない。とはいえ、このデータ本は今後間違いなく主流になるが、完全移行するのは恐らく次世代だろう。

さて、長い前置きとなってしまったがこれらの情報を最低限の知識として吸集し、実際に住んでいる私の視点を交えて武蔵野市を眺めてみることにする。

チャレンジマルシェ

0%e3%83%8f%e3%83%a2%e3%83%8b%e3%82%ab%e3%83%9e%e3%83%83%e3%83%97

武蔵野市というくくりではあるが、吉祥寺では様々な試みがなされている。このチャレンジマルシェは、ハモニカ横町の一角をテントで貸し出し、文字通りチャレンジする機会を設けている。

2

私がたまたま通りがかったときは、「やきがし屋」というお店がチャレンジしていた。7

かわいらしい焼き菓子が並べられていたが、明確な目標を掲げて活動していることはとても芯があって良い。

6

丁寧に作られたお菓子はどれも魅力的だ。写真をとって是非広めたいと申し出たら、やきがし屋さんも是非広めていただきたいということで話が進んだ。

3

4

焼き菓子とは本当に幅が広いものだと感心しつつ、今回はスコーンを2つ購入した。

9

左手はココナッツのスコーン、右はコーヒーのスコーンである。素朴な味はどうしてこうも心地良いのだろうか。また求めたくなるが、チャレンジマルシェの出店は不定期でまた食べられるのは当分先になりそうだ。

他にも月1回開催されているハモニカ朝市でも出店していることがあるので、是非足を運んでみていただきたい。

武蔵野市開発公社

%e7%94%ba%e3%81%a5%e3%81%8f%e3%82%8a

一般社団法人 武蔵野市開発公社 公式サイトより

武蔵野市をより良くしようとする動きは昔からある。この一般社団法人 武蔵野市開発公社は先ほどのチャレンジマルシェを提供している。他にもコピス前の広場も提供している。

%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%961

ある夜の広場

ジプシースウィングジャズと書かれた看板はとても吉祥寺臭くて好感が持てる。

%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%962

吉祥寺の夜をぶらぶらしていると、素敵な出会いがあるかもしれない。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-07-3-34-49

公式サイトの予定表を見れば予定を確認することができる。バスキングはライブ演奏のことである。アコーディオンやマリンバ・エレクトロニカといった風変わりな演奏が立ち聞きできてしまう。

また、吉祥寺の街中のイルミネーションもここが仕掛けている。

%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%83%9f1

サンロードの天井もその一環だ。

10

武蔵野市環境機構

新しい試みをする武蔵野市開発公社もあれば、既存の文化を大切にする動きもある。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-07-3-39-34

武蔵野市観光機構 公式サイトより

温故知新という言葉があるが、吉祥寺は文化面では古いものを大切にしていると同時に、非常に先進的だ。末永く継続して行って欲しい。

吉祥寺は分岐点に来ている。

戦略も大事だが、本当にいい物を追求し、個性を華開かせ、文化の混沌を呼び戻す必要がある。

このままでは大型量販店に全てを持って行かれてしまう。私は観測者にしかなれないが、吉祥寺の変遷をこれからも慎重に観察していきたい。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう


PAGE TOP