よりみち散歩 #22 ハモニカ横丁の紅茶屋さん
Tea Clipper
またもやハモニカ横丁でお店を見つけた。意識してぶらぶらするようになってからは、小さなお店がどんどん目に入ってくるようになる。今回はこちらのTea Clipperというお店に入ってみよう。場所は文字通り、駅前である。
かつてはプチロードという吉祥寺LOFTの前にある小さな通りにお店を構えていたそうだが(奇しくも今は別の紅茶屋 Gclefが営業している)、2009年からハモニカ横丁で営業を再開している。
カウンターと1つのテーブル
2階の店内に客席は8つしかない。しかし、アリスのティーパーティーのように賑やかであった。吉祥寺マダム3人とおばぁちゃんのマスターが元気よく話していたのである。この時のBGMは辛口評論家の寺島靖国氏も絶賛する名盤Helen Merrill with Clifford Brownのジャズヴォーカルだった。高い天井に設置されているスピーカーから聞こえる音量は控えめだ。
60代と思われるマダム達は銀幕俳優や相撲の話をするが、最終的には角界のハンサムガイは誰かと議論になる。若さの秘訣は恋する心なのだろうか、とてもエネルギッシュなマダム達から教わることは多い。そんなマスターもとても愛想が良く、みんなに笑顔を振りまいていて、気がつけばこちらも元気になる。
このお店は主に月曜が休みで(厳密には祝日の翌日がお休み)、営業時間は12:00~17:30までとなっている。夜にはバー gasumachi に姿を変える。
マスターが「あたしの兄が夜にバーをやってるのよ」と説明してくれた。このお店は兄妹で2つの顔を持っているようだ。
メニュー
ここのメニューはとてもシンプルである。
キュウリのサンドイッチには古い歴史がある。17世紀までは英国も中国と同じ緑茶を飲んでいた。それはオランダ人が中国からお茶を運んできからだと言われている。やがて18世紀半ばに紅茶文化が花開くが、それと同時に珍しかったものが”キュウリ”であった。やがて上流階級にとってキュウリは富の象徴となり、ティーパーティーでキュウリのサンドイッチを振る舞うことで財力を見せつけていた時代があったのである。
他にもケーキは季節のものを、その時々で作っている。この日は遅めの昼食を取ってしまったので、今回はダージリンティーだけを注文した。
ティーポットとセラミック
少し待つと大きめのティーポットが運ばれてきた。
マスターが「2杯半まで飲めるのでゆっくりしていってね」と声をかけてくれる。ここも良いセラミックを使っている。
以前紹介したクラシック喫茶バロックも素晴らしい陶器だったが、ここも銘品を提供してくれる。
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名門の大倉陶園のティーカップで紅茶が堪能できる貴重なお店である。
紅茶がポットの中に入っているため、時間が経つと味が濃くなってしまう。もしも濃すぎたらお湯を用意してくれる。2杯半と言われたが、実際には3杯分注ぐことができた。
素敵な眺め
やがて吉祥寺マダム達も帰り、静けさの中で気がつけば「素敵な眺めですね」とマスターに声を掛けていた。すると「入る?」とカウンターの中に入れてくれた。
「ここの景色は飽きないのよ」と言う。続けて「今日はライトが付くのが早いわね」と言うと、雨が少し強く降り出した。時計を見るとまだ3時10分だ。確かにライトが付くには少し早い。
今度は「イルミネーションは4時10分に付くのよ」と笑顔で教えてくれた。
このお店が人気の理由が少し分かった気がする。