よりみち散歩 #17 吉祥寺のゲームセンター事情
目次
アーケードゲームの歴史
世界初のコイン投入型ビデオゲームをご存知だろうか?
それは1971年に登場したコンピュータースペースというアーケードゲームだった。ノーラン・ブッシュネルにより開発されたが、Wikipediaによると所謂クソゲーで全く人気がなかったそうだ。しかしゼロから1つのモデルを作ったことはとても斬新で評価されるべきである。
これはゲームが形を成し初めてきた黎明期である。ゲーム本体も近未来的で2001年宇宙の旅(1968年公開)よろしく、スタイリッシュなものを想像していたのであろう。このゲーム機が誕生した翌年には世界初の家庭用テレビゲーム機「オデッセイ」が誕生する。
古典ゲームの代名詞となっているスペースインベーダーは1978年に登場する。この頃からゲームセンターの原型となる店舗が爆発的に登場することになる。さらにはゲーム喫茶やインベーダー喫茶と呼ばれるお店まで登場する。喫茶に特化したテーブル型の筐体も登場し、コーヒーを飲んだり、喫煙しながらゲームをする文化はここから普及したものと思われるが、海外でもこのテーブル型は存在しているので日本独自とは言い切れない。
今でも下町の喫茶店で現役で稼働しているお店がいくつかある様だ。御徒町の佐竹商店街にある喫茶室中屋がヒットしたが、最新情報は2014のブログを最後に情報はない。まだ営業していれば行く価値はあるかもしれない。そして、実は中古でも売っている。
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新品価格 |
中古は8780円だそうだ。リビングをレトロに彩ることができるかもしれない。
スペースインベーダーが誕生した二年後の1980年にパックマンが登場するが、同時に家庭用機の「ゲーム&ウォッチ」がブームになる。
ストリートファイターの前身であるファイナルファイトは1989年に登場し、続編であるストリートファイターⅡからは初めて対戦することが可能となる。この発想は定期的にヒットを生み出している。格闘ゲーム、麻雀ゲーム、クイズゲームなどの通信対戦はその応用と言えるだろう。SNSインターネットゲームでも”初めて”友人や他人と対戦できるプログラムを打ち出したZynga(ジンガ)は現在のストリートファイターと言えるほどの革命を起こしている。
これ以上語ると本題に入れないのでこちらのゲーム年表様のサイトを是非ご覧いただきたい。社会的な出来事と、ゲーム業界も年代別に並べられているので大変読みやすくなっている。
吉祥寺のゲームセンター
ここで吉祥寺にあるゲームセンターを紹介していこう。
吉祥寺にはご覧のゲームセンターがあるが、どこも比較的長い間営業している印象がある。学生の頃遊びに行っていたお店もあれば、そうでもないお店もある。それぞれには微妙に特化した傾向があるのである。
・GAME GOOSE
営業時間 10:00〜25:00
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-5 丹野ビルB1
こちらは他に武蔵小山とイオンモール下妻にも店舗があるチェーン店である。お店の創業は1998年に武蔵小山店からスタートしたが、いつから吉祥寺に展開したかはわからない。吉祥寺駅南口を出て、右手に曲がると1分ほどで到着する。
お店は地下にある。
多少のアーケードゲーム、スロット系もあるが、半分ほどはクレーンゲームが並んでいる。
ガチャポンも多少はあるが、これは吉祥寺5Fのヨドバシカメラにはかなわない。お店の広さもやや小さめだが、吉祥寺南側ではネットで調べた限り唯一の店舗である。
ちなみにこちらがヨドバシカメラ吉祥寺店のガチャコーナー

ヨドバシカメラ吉祥寺店 5階の突き当たりにある
・PLAYLOT JOY
営業時間 10:00〜24:00
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-23 河田ビル1階
吉祥寺ダイヤ街から元町通りへ抜ける細い路地にこのお店はある。すぐ隣にはDiscUnionジャズ館があり、飲食店も多い。昔は1階にプリクラ系、2階、3階に上がるにつれて暗さと煙の量が増していった。邪魔されたくないゲーマーたちが上の階層に潜んでいた。現在はタバコの対処もかなり進み、空気は綺麗になっている。
1階の入り口はクレーン系のゲームがある。
奥にはガンダム戦場の絆や、リズムゲームが並ぶ。
2階へは階段で移動する。
今年5月から配置された対戦シューティングゲームのガンスリンガートラスト3が8台並ぶ。他にも音ゲーが充実している。2階もタバコの臭いとは無縁の空間となっている。それは両手を使うゲームが多いからかもしれない。
3階はアーケードゲームが集約されている。鉄拳7や、幾つかの格闘ゲームがあるがレトロゲームも残されている。
ゲームの中身は定期的に入れ替えられているかもしれない。3階に来てようやくタバコの煙を感じることができるが、それほど気になる量ではない。
・monaco
営業時間は10:00〜25:00
高橋ビルB1〜2階
こちらは上のPLAYLOT JOYの通りを北に直進すれば到着する。1階はやはりクレーンゲームがお客さんを出迎える。
昔はZESTというゲームセンター名だったが、2012年12月に改装工事を経て現monacoが参入した。地下には音ゲームが中心に取り揃えられている。こちらにラインナップが書かれているが、少し古い情報かもしれない。

セガ・インタラクティブが2016年に発売したmaimai Pink Plus
もう少し古くなってしまうだろうか、かつて人気を博したビートマニアも配置されている。 B1フロアはあまりタバコの臭いを強く感じることはなく、昔に比べるとかなり空気環境は良くなった。というのも昔はB1にも格闘アーケードがあったのである。
現在の3階にはアーケードを中心に配置されている。艦これアーケード(艦隊育成型カードゲーム)が4台配置されている。奥には麻雀ゲームがあり、ややタバコの臭いを感じる。
このようにカードを使ったアーケードをトレーディングカードアーケードゲーム(TCAG)と呼び、2002年にセガから発表されたワールドクラブチャンピオンフットボールを皮切りに広まることになる。子供向けでは甲虫王者ムシキングなどが有名所である。
monacoは比較的混雑度は低く、好きなタイトルをどっぷりとプレーすることができる。
・アドアーズ サンロード店
営業時間 10:00〜24:45
武蔵野市吉祥寺本町1-11-30 サンロードプラザダイヤパレス吉祥寺B1F
こちらはサンロード内の地下にひっそりとあるゲームセンターである。
ここはアドアーズサンロード店のホームページにも書かれている通り、メダルに特化したゲームセンターである。メダルマシンは新旧台を含めて70種類もあるという。やや狭めの店内には大きなメダルゲームがいくつか配置されているが、入店してまず目に入るのは巨大な競馬ゲームのスクリーンである。
常連客が多く、お店も長居を前提とした配慮をしており、携帯充電サービスもある。喫煙者は多めであるため、かなりタバコの臭いは強いが、昨今の禁煙の動きによりこの店に流れ着いた人もいるかもしれない。
・PLAZA CAPCOM プラサ カプコン
営業時間 10:00〜24:50
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-10-1 いなりやビル B1F
吉祥寺では一番の大きさを誇るここの上はLOFTのビルであることで知られている。
このビル自体が禁煙の為、空気は最もきれいなお店である。客層は親子連れからカップルに、真剣にゲームに打ち込む人(非喫煙者であればここが良い)とオールラウンドである。
エスカレーターか階段で降りる。
早速キッズ達のmaimaiの名演を目の当たりにする。ここはプリクラブームの際、目につく所は全てプリクラだらけになったしまったが、今は様々なアーケードゲームが立ち並ぶようになっている。
エスカレーターの反対側には昔から変わらない、サービス精神旺盛なクレーンゲームが立ち並ぶ。他にもメダルゲームがささやかに生き延びているが、15年程前はフロアの3分の1程はメダルゲームだったと記憶している。かなり広々とした一帯を大小様々なメダルゲームが配置されていた。遊び切れなかった(あるいは増えてしまった)メダルは預けることもできる。かつてのメダルコーナーはプリクラコーナーとなっている。
男性のみの立ち入りが禁止されているのは盗撮、ナンパを未然に防ぐ為だそうだ。そして目玉的に扱われていたコーナーがこちらのVR体験コーナーである。
平日のよる19時頃で空いていたので、比較的並ばずに体験できる良いスポットである。特撮体感VRカプドンは2016年9月16日よりプラサカプコン吉祥寺店で稼働している。
1プレイは500円で安全性の為、定員は1名となっている。約十分の間網に囲まれたマットの上で自由に怪獣になりきることができる。飛行機やヘリコプターなどを破壊するエキサイティングなゲームとなっている。対象年齢は13際以上なので注意しておく必要がある。
諸注意は事前に知っておいたほうが良いかもしれないが、基本的には現場で対応できるレベルの内容である。プラサカプコンでは様々なゲームを体験することができる。
番外編
マルチメディア吉祥寺 ヨドバシカメラ
ヨドバシカメラの5階おもちゃコーナーの奥にもゲームセンターはある。こちらはお子様向けではあるが、なかなか充実している。
L字型にゲームが並ばれており、土日には親子連れでかなり混雑する。大きいお友達は平日の夜の訪れるとよいだろう。
テナントのままのアメリカヤ吉祥寺店
吉祥寺ウィズビル(センチュリーホーム吉祥寺ビル)にはかつてアメリカヤ吉祥寺店というゲームセンターがあった。あまり綺麗ではなく、タバコを吸うおじさんがいる場所というイメージがあったがちょっと古いゲームがプレイできたので、たまに遊びに行った記憶がある。2012年頃から休業は続き、2013年頃にはテナントになっている。
このビルは元人気俳優と元宝塚女優の夫婦が所有しており、その頭文字からO&Tビルと呼ばれていた。詳しく調べると大瀬康一(O)と高千穂ひづる(T)夫妻であったことがわかった。オーナーが変わると同時に、ビル名もウィズビルと名称が変わった。
2008年にボヤ騒ぎがあり、それ以降店舗が減っている。かつては中華料理屋の聘珍樓(へいちんろう)もここにあったが、向かいの新館に完全移転した。ここ数年程はこの状態が続いている。色々な噂がされているが、最近のサンロードのテナントの移り変わりには危機感を感じている。販売モデルのテストをしているとも言われているが、純粋に土地代が高すぎるかもしれない。参考までではあるが、こんなYahoo知恵袋を見つけた。
他にもブーボスボスというゲームセンターもあったが、検索しても2007年頃の個人ブログを最後に話題に上がっていない。
新しいゲームの形
その昔にはRPGツクールというゲームが局地的に流行った。キャラクターのセリフやイベントなどを自由に組み合わせることができるゲームである。ややドラクエ風のイラストであるのが特徴だ。
しかし時代はさらに進み、ゲームを作る領域に入っている。昨今ではiphoneアプリでゲームを作るという本も多く見かけられる。吉祥寺にはピコピコカフェというお店がある。
東京都武蔵野市吉祥寺南町1丁目11−2 もみじビル8階
【Picotachi#38 開催のお知らせ】11/12 Sat. 20:00〜 やります。発表者も募集してますんで、ご興味ある方は当店webサイトご覧ください。(中途半端なゾンビコスのきつねがお伝えしました)https://t.co/bDSSbbsPNd pic.twitter.com/LbFKXv6Z4H
— Pico Pico Cafe (@picopicocafe) October 13, 2016
ここでは電源、wifi、8bit音楽を完備しており、最近流行りのコワーキングスペースとなっている。起業家やフリーランスなどのプログラマー、クリエイターが集まり作業をすることができる。貸し切りされていることも多いので、訪れる際は一度カレンダーを確認した方が良さそうだ。
定期的に勉強会も開かれており、吉祥寺にまた新たな文化が芽生え始めようとしている。最近ではRaspberry Piというむき出しのシングルボードコンピューターも安価で販売されている。これにはUSBとHDMIアウトがあるので、スクリーンを繋ぐだけでお手軽DIYゲーム機も作ることができてしまう。
研究者が初めてゲームを作った。やがてそれはゲーム産業になり、45年経った今、今度は一般人がまたゲームを作り始める。あらゆる文化の発展はこの流れを繰り返している。この記事でさえも同じことである。本や新聞からメディアに移り、最後には個人に収束していく。これから情報がどんどん溢れていくであろう。
しかし、この小さな種が少しでも誰かの役にたってくれればという思いで今日も記事を書いている。吉祥寺の研究は終わらない。
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